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2010年3月 9日 (火)

日本がギリシアの二の舞に?

3月9日発行の週刊ダイヤモンドオンラインで、日本の財政赤字に関して示唆に富む論述がされていました。信州大学教授、真壁昭夫先生の文章です。真壁氏は「現在の政府のように、多額の国債を発行して、それを国民に配分するという手法は、早晩、破綻を迎える」とし、「北欧型の“高福祉社会”を目指すのであれば、消費税率の引き上げなどによって、国民負担を高めることが必要だ。逆に、米国のような“低福祉社会”を目指すのであれば、規制緩和などの競争原理の強化を考えなければならない」と国民的な議論の必要性を訴えています。

私も、日本は今大きな岐路にたっていると思います。
私たちがどのような日本に住みたいのか。どのような日本にしたいのか。
活発な議論が必要です。

引用先が消えてしまうといけませんので、記録として本文を掲載しておきます。
出典は以下の通りです。

ダイヤモンド•オンライン http://diamond.jp/

【以下本文】
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日本はギリシャの二の舞になるのか?
戦後最大の「大赤字予算」の行方

真壁昭夫(信州大学教授)【第116回】 2010年03月09日

最近、海外のファンドマネジャー連中から、日本のソブリン・リスク=信用状態を心配するメールがよく来る。中には、「ギリシャの次は日本という話が出ているが、大丈夫か?」というものまである。それだけ、海外投資家がわが国のソブリン・リスクを心配し始めている証拠だ。

 問題の発端となったギリシャの財政状況は深刻で、問題は長期化することが予想される。今後、ギリシャのケースがさらにこじれるようだと、EUの共通通貨であるユーロにも一層のマイナスの影響が出るはずだ。

 ただ、問題はギリシャだけに止まらない。当初、不安視されていた諸国は、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)だったが、その後、範囲が広がっている。足元では、ソブリン・リスク懸念はSTUPID(スペイン、トルコ、UK=英国、ポルトガル、ドバイ)諸国に拡大している。
 
 海外投資家の目には、STUPID諸国の延長線上に、多額の財政赤字を抱える日本が来る。抱えている債務額を見ると、日本の財政状況はまさに“火の車”で、「ギリシャの次は日本か?」と言いたくなる気持ちは理解できる。また、そうした財政状況にもかかわらず、民主党政権は、一般会計の総額が92兆円あまりにも達する過去最大の予算編成を行い、収入面では、税収を上回る44兆円もの国債を発行してやりくりする。

 国内の潤沢な資金バランスや、国債購入者の約95%が国内投資家であることを考えると、すぐに、わが国の国債がデフォルトになるとは考えにくいものの、現在の政府のスタンスを見ていると、海外投資家ならずとも、「日本が心配だ」という心理は当然といえるかもしれない。

現在、日本もギリシャも多額の債務を抱えていることに違いはない。ところが、両者で最もことなるポイントは、発行する国債を購入する投資家に大きな違いがある。ギリシャは、国内の投資資金が少ないこともあり、発行する国債の消化を海外投資家の資金に依存せざるをえない状況だ。つまり、海外投資家の資金に頼って、国の資金繰りをつけているのである。

一方、わが国の国債は、ほとんど国内投資家によって消化されている。その背景には、国内に潤沢な資金が存在することがある。企業部門が強い競争力を持っているため、わが国は、輸出が輸入を上回る貿易黒字国である。そのため、毎年、国内全体で見ると貯蓄が増加する。

簡単に言うと、お父さんが10万円の月給をもらっており、お母さんは、そのうちの8万円しか使っていない。そのため、毎月2万円の貯金ができるのと同じだ。国内に潤沢な資金があるため、国が発行する国債のほとんどの部分を、国内投資家が保有している。つまり、海外投資家に頼らなくても、多額の国債発行が可能になる。

その違いは大きい。例えば、国の格付けが低下=ソブリン・リスクが上昇しても、当該国の国内投資家にとっては、国が最も信用力を持つことには変わりがない。そのため、国債の消化について国内投資家の割合が高いほど、国債の消化は安定していることになる。典型的なのがわが国なのである。

それに対して、ギリシャの場合は、発行国債の約半分を海外投資家に頼っている。それだけ、国債の消化が不安定になりやすい。そのため、国の格付けが低下すると、すぐに、国債の消化に不安が出て、今回のような事態に追い込まれることが考えられる。

現在の国内資金の状況などを見ると、短期的に、国債発行に大きな問題は発生しないだろう。そのため、日本がギリシャの次になることは考え難い。

 ただし、長期的に見て、現在の状況が続くという保証はどこにもない。むしろ、現在の民主党政権のように、国債を発行して集めたお金を、子ども手当てなどで国民に配り続けると、いずれかの時点で、財政破綻が現実のものになる可能性は高い。わが国の財政は、長期的に見て、危険水域に入りつつあると見るべきだ。

 その背景には、現在の国内の資金状況が、変化する可能性がある。今のところ、輸出企業が頑張って外貨を稼いでいるが、企業の競争力が低下して、貿易黒字国から赤字国に転落することも想定される。その場合には、毎年、貿易赤字分だけ、資金が海外に流出することになる。そうなると、国内の貯蓄が減少するため、ギリシャのように、国債の消化を、海外投資家に頼らざるを得なくなってしまう。

 特に、わが国では、少子高齢化が進んでいるため、労働力人口の減少や家計部門の貯蓄率が低下することが懸念される。そうした状況を考えると、わが国が貿易赤字国に落ち込んで、国債の消化に四苦八苦する姿は、それほど現実離れしたことではない。

 しかも、現在の民主党政権のように、税収を上回る国債を発行して、大型予算を組み続けると、いずれ、国債の発行に支障が出ることは十分に考えられる。現在の900兆円に上る政府の債務残高を考えると、財政破綻が現実味を帯びることは、そう遠いことではないと考えるべきだ。

現在の状況を冷静に見ると、わが国がデフォルトリスクの顕在化に向かって、着実に歩んでいると考えられる。その意味では、今は国債発行に大きな支障がないからと言って、政府は安穏と国債の大量発行を続けることはできない。重要なポイントは、政府自身が、財政状況を今後、どのようにマネジメントするかという、長期的視点に立った財政規律のビジョンを作ることだ。

 現在、わが国は、人口減少、少子高齢化という構造的に大きな問題を抱えている。若年層が減る一方、シニア層が増える。しかも全体として人口が減るわけだから、経済成長を維持するためには、極めて困難な状況になっているといえる。その中で、国民の一定水準の福利厚生を保つことは容易なことではない。政府の社会保障費負担が増加するのは不可避だろう。わが国の財政状態を改善することは並大抵のことではない。

しかし、そうした困難な状況下でも、何とかして、財政健全化に向けた努力を行わないと、いつの日にか、今のギリシャになってしまう。それを避けるためには、日本を将来、どのような国にするのかを考えることが求められる。北欧型の“高福祉社会”を目指すのであれば、消費税率の引き上げなどによって、国民負担を高めることが必要だ。逆に、米国のような“低福祉社会”を目指すのであれば、規制緩和などの競争原理の強化を考えなければならない。

現在の政府のように、多額の国債を発行して、それを国民に配分するという手法は、早晩、破綻を迎えることは明らかだ。政府は、国民的な議論を早急に始めるべきだ。その議論の過程で、わが国の将来像が見えてくるはずだ。それを逆算して、必要な財政の長期的な青写真を作ればよい。

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