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2010年12月 4日 (土)

相鉄•東急直通線公聴会に参加しました。


20101130日、港北公会堂で行われた相鉄•東急直通線の都市計画決定に向けた公聴会で意見を表明して来ました。今回はその時の原稿を公開いたします。

以下原稿のまま(小見出しは分かりやすく修正してあります)

港北区大曽根台に居住しています。大野たくおです。公聴会申し込み時には、5項目を挙げましたが、時間が10分と短いため、項目を絞ってお話しいたします。

私は以下の観点から事業の延期または中止を要望します。

1.時代遅れの相鉄•東急直通線計画

 東部方面線の根拠となっている運輸政策審議会答申第18号(平成12年)によれば、本計画の主たる目的は、相鉄線沿線を中心とする住民の皆様が東京都心に通勤する需要を踏まえ、その速達性を高めることとされて来ました。具体的には、先ず「相鉄•JR直通線を完成させ、朝のラッシュ時に1時間あたり4本、その他の時間帯では1時間に約2 - 3本を運行すること。次に「相鉄•東急直通線」を完成させ、朝ラッシュ時は10本程度の乗り入れをし、新横浜駅始発の列車4本を加えて運行する計画で、相鉄は、これらの計画によって1日あたり27万人の利用者増を見込んでいるとお聞きしています。

 そこで私は、相鉄線沿線の東京都心への通勤需要について知りたいと、横浜市の「将来人口推計」を調べてみました。そして驚きました。相鉄線沿線である旭区、瀬谷区、泉区は、横浜市でも最も人口減少率と高齢化率が高くなることが予想されている地域だったからです。2055年の人口で比較すると、65歳以上の高齢化率が瀬谷区で約45%、旭区に至っては、高齢化率が約49%、就労人口とされる15歳〜64歳で45%と、就労人口よりも高齢化した人口の方が上回る、私たち人類が経験したことのないような高齢社会がやってくることが予測されていたのです。つまり、通勤など都心へ向けた需要が増大するという予測とは正反対の結果でした。

 東京都心への通勤需要が、鉄道が完成する平成31年以降も拡大し続け、利用が必然であるとする根拠について、事業者側はどのように説明できるのでしょうか。

 むしろ相鉄線沿線で今後必要になるのは都心への通勤需要ではなく、急激な高齢化に対応し、買物や病院等地域内での移動ニーズ、あるいは高齢者でも安心して暮らせる福祉を重視したまちづくりであることは明らかです。

 今横浜市では、厳しい財政事情ということで、様々な予算の見直しが行われています。本年度は事業見直しということで950項目、122億円の削減を行っていますが、既にその多くが、市民生活に必要な生活関連の予算になっています。

 また、人口が一気に増大した1960年代以降つくられた生活道路や橋、学校、上下水道といったインフラが既に更新時期に入っていますが、その補修すらままならない状況で、このままでは市民生活に大きな課題が生じる恐れがあります。

 横浜市では東部方面線以外に、「横浜駅周辺大改造計画」「新市庁舎整備構想」「高速鉄道3号線延伸」「横浜環状道路」など多くの巨大開発計画をはじめ、各地の道路計画、駅前再開発計画など数えきれない程の開発計画を抱えていますが、それらをすべて推進することは、横浜市にとってまさに自殺行為です。このような情勢の中、相鉄東急直通線においても、計画の是非について抜本的に問い直す必要があります。

2.高齢化社会への対応に逆行している

 綱島の新駅が計画されている敷地にかかる形で、綱島温泉最後の温浴施設である「東京園」が存在します。私は計画が具体化して後何度かこの施設を訪れました。そして、ある意味高齢社会の理想的な姿をそこに見つけました。

 綱島温泉東京園は、開園前になるといつも高齢者の方の行列ができています。利用料金は1900円、4時以降に入ると銭湯料金の450円です。中に入るととてもゆったりした空間で、窓の外は緑に溢れています。たくさんの高齢者の皆さんが、その場でお友達意になりながら一緒にカラオケや社交ダンスなどに興じています。お風呂に入ると知らない者どうしが背中を流しあっています。高齢者の方々だけでなく、若者や遠く九州や東北から、この温泉のことを聞きつけたお客さんも来られていました。このような場所は、いくら行政がお金を出しても実現することのできない、高齢社会の見本のような場所だと私は感心したのです。このような場所が東京の近郊で残っているのはまさに奇跡的なことだと思いました。

 今、その場所が、本計画の駅建設にあたって存亡の危機に立たされています。現在計画されている場所に新駅ができれば、地下水を汲み上げている鉱泉が大きな影響を受けることは疑いようがありません。もしそうなれば、私たちは横浜に残されている大切な遺産を失うことになります。

3. 意思決定への市民参加ならびに情報の共有がなされていない

 本計画の進行において最大の問題点は、意思決定への市民参加ならびに情報の共有が極めて不十分だと言うことです。本計画を現在のまま推進すれば、多くの住民が横浜市行政への不信を募らせ、後に横浜市がその責任を問われることは必至です。

 地権者のみならず住民一般に十分な情報を公開し、PI(パブリック・インボルブメント)を進め、推進、廃止を問わず合意形成に十分な時間を設けることが欠かせません。

 都市計画決定をしてしまってからでは計画の変更や中止は容易ではありません。事業の再考のために今十分な時間をとることは決して無駄にはなりません。むしろ強引にことを進めることの方が先進都市としての横浜市の威信を著しく傷つけることになります。今立ち止まって考え直す勇気を横浜市は持つべきです。逆に、こうした対応ができないのであれば、計画そのものの存在意義が問われることになるでしょう。

                    

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